
入れ歯(義歯)
入れ歯(義歯)
歯を失った場合の治療法には、差し歯やブリッジ、インプラントなどのほかに「入れ歯治療」があります。入れ歯には、総入れ歯や部分入れ歯など様々な種類があり、材質や構造も多様で、患者様一人ひとりのご希望やライフスタイルに合わせて製作することができます。
入れ歯は、「食事を味わう」「噛みしめる」「喋る」「笑う」などの行動を支える体の一部となり、健やかな毎日を送るためには、お口にフィットする入れ歯を手に入れることがとても大切です。当院ではお口全体の治療計画をしっかり立てて、十分なカウンセリングを重ねて一緒に考えながら治療を進めていきます。
入れ歯にお悩みがある方も、お気軽にご相談ください
入れ歯は保険診療の範囲内で製作できるものと自費診療によるものがあります。
保険診療の入れ歯は、保険適用内で決められた素材や製作工程で製作するため、費用を安く抑えることができるというメリットがあります。
一方、自費診療の入れ歯は、見た目の自然さ、お口へのフィット感などをより重視して製作するため、保険適用外の高価な素材を使用し、製作工程も保険の入れ歯より複雑な工程になります。
「より安価に製作したい」というご希望であれば、保険診療での入れ歯をおすすめします。しかし、審美性や機能性をより求めるのであれば、精密に製作する自費診療の入れ歯をおすすめします。
長所 | 短所 | |
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保険診療 |
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自費診療 |
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1
問診・カウンセリング
患者様一人ひとりに適した入れ歯を製作するため、ご要望や口内のお悩み、ライフスタイルなどを詳細にヒアリングさせていただき、お口の状態を検査して、治療計画を立てていきます。
2
個人トレーの製作
実際の入れ歯製作ではまず、大まかな型(個人トレー)をつくります。
3
精密な型取り
2で製作した個人トレーを用いて精密な型を取ります。この型から「咬合床」と呼ばれる土台をつくります。
4
噛み合わせの決定
咬合床を使って噛み合わせ位置を採取します。これを咬合採得といい、患者様の顎の上下の位置関係を調べて決定します。
5
仮入れ歯の製作
人工歯を排列し、ロウで仮入れ歯を製作します。入れ歯の高さの再現性、見た目やフィット感などを確認します。
6
入れ歯の完成
必要に応じて仮入れ歯を調整して、本入れ歯用の素材で製作します。
完成した入れ歯を患者様のお口に合わせていきます。
7
調整
入れ歯は、ただ入れているだけのときと、食事しているときでは違った動きをします。
新しい入れ歯は、歯ぐきになじんでいないので、使用していただきながら問題点を確認し、しっかり噛めるように調整していく必要があります。個人差はありますが、3~4回程度は調整が必要になります。
補綴(ほてつ)という言葉の意味は、体の中の欠損が生じた部分を人工物で補うことです。
歯科治療の分野での言い方としては、「欠損のあった歯を修復すること、事故や歯周病などで失われた歯を補うこと」となります。補綴物を用いて、口、歯の機能や見た目を回復させることを目的とする治療が補綴治療です。
歯は、歯根と呼ばれる、歯ぐきの中の根の部分と歯冠という歯ぐきから上の部分とに分かれています。歯冠の部分がボロボロになっても、歯根の部分に土台を建て、その上に金属やセラミックス(陶器)で作った人工の歯冠を被せることで歯の機能を残すことができます。これをクラウンと言います。
クラウンにも種類があります。主に奥歯に用いられるのが金属冠、金属冠の表から見える部分にプラスチックやセラミックスを貼り付ける前装冠、金属を使わず硬質レジンやセラミックスだけで冠を作るジャケット冠などがあります。クラウン自体はむし歯にはなりませんが、隣の歯との間にプラークが溜まって歯周病などを起こすことがありますので、普通の歯と同じように歯磨き、フロスによる手入れを行う必要があります。
失った歯の両側に歯が残っている時には、人工の歯を橋のように架けることができます。これがブリッジです。手順としては、まず石膏模型を作り、ブリッジを設計します。両脇の歯を削り、口腔内の調整をしてからセメントで貼り付けます。セラミック、メタルボンドなどがブリッジの素材として使われています。咬む力は天然の歯の60%程度ですが、審美性に優れています。
ラミネートベニアは、歯の表面の変色や表面だけのむし歯などに対処するため、表面を薄く削り、薄いセラミックの人工歯を貼り付ける治療法のことです。エナメル質の表面をごく薄く削るだけなので、歯へのダメージが少ないという特徴があります。治療も比較的短期間で済みます。テトラサイクリン変色歯といって、生まれつき茶色や黄色の線が歯に入っている場合などに使用されます。
部分的に歯を失った場合に、残った歯にクラスプと呼ばれるバネをかけて、失った歯の機能を補う治療方法が部分入れ歯です。残った歯にむし歯や歯周病がある場合、その治療を先に行います。
部分入れ歯は、残った歯に引っ掛けるバネ以外に、失った歯の代替物としての人工歯、土手や歯ぐきを補う義歯床、歯を繋ぐ連結子などの部品によってできているものです。
部分入れ歯は一定方向からしか装着できません。無理に押し込もうとすると変形したり、折れたりするので注意が必要です。就寝前には外すことが原則です。残った歯の健康状態をチェックすることも重要ですので、半年毎に定期検診を受けておくと良いでしょう。
上あご又は下あごの歯を全て失った場合に装着するのが総入れ歯です。歯ぐきとの吸着力により歯を支えます。治療のステップですが、最初に口腔内診査を行ってどのような入れ歯が良いか計画を立て、必要により簡易的な型取りをします。型取りの本番は、トレーと呼ばれる器具を用いて行います。蝋でできた咬合床(こうごうしょう)という器材により咬み合わせを取ります。次に蝋でできた歯を試し入れし、歯の形状、色、歯並びや咬み合わせの確認を行います。入れ歯が完成し、装着に至ります。
総入れ歯は歯ぐきの素材により、チタンなどの金属床とプラスチック樹脂のレジン床とがあります。レジンは保険適用、金属の方は一部保険負担あり、となっています。就寝時は入れ歯を外して、歯ぐきを休ませることを心掛けてください。
インプラントは別名、人工歯根と呼ばれています。歯が抜けた顎の骨にチタンなどの金属を埋め、それを土台として人工の歯を装着する治療方法です。生体親和性の高いチタンと骨が結合することで、土台の安定をもたらし、天然の歯のような咀嚼機能と高い審美性を生み出します。
インプラントの施術は、視認できない部位を対象としますのでレントゲン画像が欠かせませんが、画像には種類があります。それぞれ、「パノラマ」「デンタル」「コーンビームCT(歯科用CT)」と呼ばれています。パノラマは、顎の骨、歯、鼻腔、顎関節など全体の総覧像を写す画像で、二次元画像です。デンタルも同じく二次元画像ですが、パノラマのような全体像ではなく、個別の歯を捕捉するものです。コーンビームCTは、三次元画像でX線を円錐状若しくは四角錐状に照射し、立体画像を得ることができます。この立体画像上で手術のシミュレーションも行えるので、手術時間の短縮と術後の痛み、腫れの軽減などに効果があります。
インプラント治療は、むし歯の治療などに較べ期間は長くなります。